フルタイムで働きながら、3か月半で書籍を出版するまでの舞台裏
こんにちは、ゆう(@yuhlabo)です。
昨年12月に「仕事の速い人がこっそり使っている 最強のWebアプリ活用術」を出版した際、友人・知人から出版そのものについていくつか質問されました。
- 出版に至った経緯は?
- 出版のためにSNSやブログでの情報発信は必要?
- 執筆中の時間の使い方はどんな感じ?
- 大変だったことは何?
これらの質問を眺めていて、「せっかくなら、いただいた質問と回答をブログ記事にしたら良いのでは?」と思い、記事として書くことにしました。
商業出版に至った経緯
個人が商業で書籍を出版する際は、企画の持ち込みや出版社からの声がけが起点となるイメージです。
しかし、「仕事の速い人がこっそり使っている 最強のWebアプリ活用術」は、企画書を持ち込んだものではありません。
今回の出版では、先に企画書があり、その内容で書ける人を探しているという話から自分が書くことになりました。
企画の担当者の方がA4用紙1枚の企画書を作成していて、その時点で書名や構成、書籍のねらいは決まっていました。
そのため、今回の書籍は私が企画を作ったわけではありません。
とは言っても、自分の名前で出る本です。担当者の方々と直接話し、企画の主旨に納得した上で、執筆に携わる意思決定をしました。
書ける人を探している話は、企画の担当者(日経BP)→別の出版社の方→その出版社と仕事をされている方→お世話になっている知人、と経由して自分に回ってきました。
人の縁とは不思議なもので…。
出版にあたりSNSなどの発信は見られたか
企画書の持ち込みや出版社からの声がけだと、現時点でどんな情報発信を行っているかがチェックされることでしょう。
具体的には、SNSのフォロワー数や専門性、ブログやnote、YouTubeでの情報発信などですね。
ただ、今回の出版では、SNSの数字は一切見られていません。
先に企画書があり、その内容で書ける人を探していたところに自分が入っていく形だったため、インターネット上での認知度はあまり重要視していなかったものと思います。
プロフィールと共にこのブログのURLはお伝えしていたので、書くか検討することになった段階でブログは読まれました。
特にプロフィール記事はしっかり見られていたようです。
振り返ると、個人ブログがポートフォリオ的な機能を果たしてくれたな〜と思います。
制作決定〜出版の期間は3か月半
制作決定〜出版までにかかった期間は3か月半です。
- やりましょう!となった日が 9/9
- 出版が 12/21
日数だと104日で、期間としては短いほうでしょう。一般的には半年くらいかかるのかな?と思っています。
企画の担当者の方は「2023年内に出せるといいけど、スケジュールがギリギリなので後ろ倒ししてもいいです」と仰っていました。
ですが、年末年始休暇に読んでもらいたいので年内で出しましょう!と私から伝え、年内出版の想定でスケジュールを引いてもらいました。
出版までの行程と時間のやりくり
出版までは、ざっくりと以下のような行程でした。②執筆〜③校正が作業時間のほぼ全てを占めます。
- 企画書をもとに目次や構成を詰める
- 執筆(本文を書く&アプリのスクリーンショットを撮影)
- 校正(PDFファイルで修正箇所のチェック)
- 入稿(手続きはディレクターの方が実施)
- 発売日前後に告知
日中は仕事があり、休日はライブ遠征に行きながらの作業。ただでさえ作業できる時間が少ないので、時間のやりくりは必須です。
気合を入れて、使える時間はすべて使うスタンスで臨みました。
- 仕事が始まるまでの朝の時間
- 予定のない休日に、自宅だけでなくカフェも活用して5〜7時間
- ライブ遠征先での空き時間
ライブ遠征では札幌や仙台に行きましたが、「ライブは夜なので昼は丸々作業ができる!」と、コワーキングスペースやカフェに滑り込んで作業しました。また、飛行機に搭乗する前の待ち時間なども活用しています。
意外とどこでも仕事できるものですね〜。
出版にあたって特に大変だったこと
今回の出版で特に大変だったのは次の2点です。
1. とにかく制作期間が短い
先述の通り、立ち上げから出版までは3か月半でしたが、実際の作業に使えたのは10月頭〜11月末の2ヶ月でした。
印刷所にデータを送る都合上、11/30までにすべてのデータを完成させる(校了と言います)必要があったためです。
また、文章だけを書けば済むわけではなく、Webアプリのスクリーンショットを撮影したり、画像の説明も指定する必要があります。
そんなわけで、10月と11月は書籍の作業にかかりっきりでした。
「年内に出しましょう!」と自分から言った手前、引き下がるわけにもいきません。膨大な作業量でしたが、とにかくやりきるぞ!と気合いを入れて乗り切りました。
ただ、迷った点はSlackでディレクターさんに相談できて心強かったです。
2. 校正の量が膨大すぎる
原稿を書いた後の校正と呼ばれるプロセスでは、印刷物の内容に誤りがないかをチェックします。この校正作業が果てしなく大変でした。
自分が行った校正のプロセスでは、以下のような箇所を修正しました。
- 誤字脱字や主述のねじれ
- 改ページの修正
- 画像の引き出し線の修正
- 画像の内容と説明文の不一致
- 段落まるまる書き直し(通しで読むと流れがおかしいとか)
誤字脱字以外のチェックも作業に含まれていたので、推敲や校閲も一緒に行っていたことになりますね。
- 校正:誤字脱字や表記ゆれ、スペルミスを修正すること
- 校閲:情報の誤りや不備を修正すること
- 推敲:文章や表現を十分に吟味して練り直すこと
通常は試し刷りした紙に修正を記入しますが、今回はすべてPDFファイル上でチェックを行い、コメント入力機能で修正箇所を明示しました。
200箇所以上の修正を入力するのは、なかなかに骨が折れる作業です。
また、通しで合計3回ほどチェックしましたが、チェックするたびに修正したい箇所が出てきます。無間地獄か…?
コラム、各章表紙ページのリード文、まえがき&あとがき、各章のまとめページといった本文以外のテキストは校正の段階で入れたため、修正する↔書くの切り替えにも苦労しました。
出版を経て実感したこと
書籍づくりはチーム戦
個人の情報発信は、完全に自分ひとりでの活動です。
一方、書籍を出版するまでにはさまざまな方との関わりがありました。
- 装丁や本文デザインを担当するデザイナー
- 制作を伴走したディレクター
- 企画を作った担当者
- 印刷所の方々
- 出版契約を締結する
直接連絡を取り合った方々に限らず、多くの方が関わって1冊の本が完成します。
「本を出版するのはチームでの仕事だな」と強く実感しました。
日々の積み重ねの重要性
物量やタイトなスケジュールにも胆力を持って取り組めたのは、日頃の積み重ねがあったからです。
このブログも、エッセイを書いているnoteも、特に専門性を持って発信をしているわけではありません。
でも、作業期間2か月という短期間で1冊を書ききることができたのは、やはり日頃から書く時間を作っていたからだと実感します。
何につながるか分からなくても発信は続けていこう、書くことには身を置いていこう。そう思える経験になりました。
感じたことはnoteにまとめています。こちらもどうぞ。
書籍の出版は大変で楽しい期間でした!またやりたい
出版に至るまでの裏側をお伝えしました!
- 企画書の持ち込みでなくても出版の機会はある
- SNSやブログのプロフィールをまとめておくと話がスムーズに進む
- 3か月でも書籍は出版できるが進行はタイト
- 自分で書く場合の主な作業は執筆&校正
- 書籍づくりはチーム戦
ふり返ってみて、改めて「このお話を受けて良かったな」と思います。はじめての経験だらけで学ぶことが多く、大変で楽しい3か月半でした。
また書きたいなーと野望を抱きつつ、日々の情報発信を続けていきたいと思います。
イレギュラーケースではありますが、これから出版を目指す方の参考になれば幸いです!