リファラル採用で報酬より大事なことは「課題の分離」
最近よく聞くようになった「リファラル採用」。
あなたが勤める会社で、「社員紹介制度」といった名前の制度が新設されていませんか?そう、それのことです。
このリファラル採用について思うところがあり、メリットや仕組みをまとめながら考察していきます。
リファラル採用は「知人を自社に紹介する採用手法」のこと
「リファラル採用」。
最近増えてきている採用のやり方で、よく聞くようになった言葉のひとつです。
リファラル(referral)は、「推薦・紹介する」という意味。
リファラル採用という言葉を使っていなくても、「社員紹介制度」「縁故採用」など、別の名前で制度化されていることもあります。
ざっくりいうと、「在籍する社員が、友人知人を自分の会社に紹介する採用手法」のこと。
紹介した知人が自社で採用となった場合、社員に報酬が支給されることもあります。
リファラル採用、企業から見た3つのメリット
リファラル採用は、企業から見たメリットがとても大きいと感じています。
採用担当者から見たら、こういうところにメリットがあるんだろうな〜という点を、個人的にまとめてみました。
利点(1)コスト削減(会社が払うお金が減る)
転職サイトや、転職エージェントサービスのお金の流れについて、考えたことはありますか?
私は全く無頓着だったので、一度目の転職活動のときに、転職エージェントの担当さんに根掘り葉掘り聞きました。(やり方としておすすめはしません)
転職したい人が、お金を払わずに転職サイトやエージェントを利用できているはなぜ?という話にもつながります。
転職先が決まったとき、内定を出した会社は、転職エージェントやリクルート企業にお金を支払います。紹介料みたいなものです。
その金額は、だいたい300万とか500万とか。人ひとりの年収分くらいだとも言われています。
一方、リファラル採用で社員に報酬を出す場合、30万〜50万くらいが相場。
もちろん、面接やスケジュールの手間など、お金以外の時間や労力コストはかかります。それでも、お金としてのコストの差は歴然です。
利点(2)人的信用のある社員を採用しやすい
リファラル採用は、自社で働いている社員の紹介で、人員を採用することになります。
その根底には、自社で働いている信用できる社員なら、その縁故関係も信用できるだろうという考えが、少なからず存在します。
少なくとも「外れくじ」は引きにくいよね、といった考え方ですね。
通常の採用活動に比べて、スムーズに採用が行われることも少なくありません。
同じ釜の飯を食った仲間……ではないですが、同じ会社にいることによる信用でしょうか。
日本の企業っぽいところかなあ、と考えたりもします。
利点(3)転職サイトに登録していない人材を拾える
「転職サイトに登録していないけれど、転職したいなと思っている人」
も、少なからずいます。
転職サイトや転職エージェントサービス経由で採用活動を行う限り、当然ながら、そういった層に目を向けることはできません。
人が人を紹介するリファラル採用の場合、そういった「潜在的な転職ニーズ」の人員を採用できる可能性もあると言えます。
飲み会の席で、「じゃあうちの会社どう?」と勧められる。そんなイメージです。このやりとりを、転職サイトでやることはできません。
他にもメリット・またデメリットはありますが、企業側から見たときはメリットが多いリファラル採用。
そんなリファラル採用について、「リファラル採用を行う企業に所属する一般社員」はどう向き合っていけばいいのか?
を、ちょっと考えてみました。
リファラル採用に欠かせないのは「課題の分離」
リファラル採用と切り離せないのは、「課題の分離」だと考えています。
「課題の分離」はアドラー心理学の言葉で、「自分の問題」と「相手の問題」を分ける認識方法のことです。
紹介されて採用・入社したからと言って、
「あの人が紹介された会社に転職したから不幸になった!!」
と、人のせいにしないこと。
すなわち「他人のせいにしない」ことが重要です。
あなたに会社を勧めたのはその人だとしても、その会社に入社するのを選んだのはあなた自身です。
「自分が悪いんだ」……とは極端すぎますが、自分のとった行動の結果だ、と認識していきたいものです。
また、紹介してもらう→採用→入社まではいいものの、肌に合わなくて会社を退職せざるを得ない……というパターンもあると思います。
紹介社員に報酬が発生する制度の場合、報酬が相手に支払われないこともあるでしょう。
そうなったときに考えられるのは、「人間関係が崩れるのでは……」という恐れ・不安です。
ただ、実際は、それくらいで崩れる人間関係なら、そもそもそれまでだったってことです。
相手の幸せのためのリファラル採用であってほしい
そして、リファラル採用で会社を勧める際は「君には、うちの会社のやり方や社風が合っていると思う!」というオススメの仕方をしたいなと思っています。
紹介報酬のためではなく、あくまで「相手の幸せのため」に、胸を張って自分の会社を勧める。
報酬があるとしたら、それはただの結果です。
そうやっていこうと思ったら、飲みの席で、自分の仕事や会社、上司の愚痴を言っている場合ではありません。
いつも愚痴を言っているような会社を友人知人に勧めたら、相手はどう思うか? 想像には難くないはずです。
「相手の幸せのため」にリファラル採用を活用するのか。
「紹介報酬としてのお金がほしい」という理由で、リファラル採用を活用するのか。
前者の意識で取り組んでいきたいし、そういう意図で制度を活用する人が増えてほしい、と思うばかりです。
まとめ:Win-Winになるかたちで制度を活用しよう!
リファラル採用の利点と、制度が始まった社員はどうすればいいんだろう?という内容を、記事にまとめました。
リファラル採用の利点としては、少なくとも以下の3つがあると考えています。
1. コスト削減(会社が払うお金が減る) 2. 人的信用のある社員を採用しやすい 3. 転職サイトに登録していない人材を拾える
また、リファラル採用が自社で始まった場合は、アドラー心理学で言われる「課題の分離」を念頭に置きつつ、胸を張って自社を進められる場合に限り制度を活用する、といった姿勢が重要だと感じています。
せっかくある採用手法、Win-Winになるかたちで活用していきたいですね!