いわた書店「一万円選書」で届いた本13冊を紹介します
こんにちは、ゆう(@yuhlabo)です。
2022年に「一万円選書」というサービスを利用し、書店主の方に1万円分の本を選んでもらいました。
一万円選書は、読書を趣味とするひとりとして気になっていたサービス。まったくの他人に本を選んでもらう機会なんてそうそうないですからね……!
この記事では、手元に届いた13冊の紹介と共に、選書が届くまでの流れをお伝えします!
一万円選書は、個人書店のオーナーが書籍を選んでくれるサービス
一万円選書とは、個人で営む北海道の書店「いわた書店」の店主が、購入者のカルテに沿って1万円分の本を選んでくれるサービスです。
どんな本が届くかは人によって異なります。
忙しくって本屋にいけない、最近同じような本ばかりで出会いが・・・
などなど読書難民のあなたの為に社長の岩田がお薦めの本を約一万円分選んでお届けするというサービスです。おかげさまで好評です!2018年4月23日のプロフェッショナル仕事の流儀にとりあげていただきました。
お申し込みは1年に1回、秋ごろを予定しております。
いわた書店「一万円選書」概要ページより引用
その期間にご応募いただいた方の中から、1年かけて毎月抽選いたします。
他人に本を選んでもらうっておもしろそう!
と軽い気持ちで申し込んだところ当選しました。ありがとうございます……!
一万円選書で届いた13冊を一挙紹介します
私の手元には、13冊の本が届きました。合計10,035円です。
送料1,300円が加算され、総支払額は11.335円でした。
- 両手にトカレフ
- 黄色いマンション 黒い猫
- 大事なことほど小声でささやく
- 空が青いから白をえらんだのです ―奈良少年刑務所詩集―
- パリでメシを食う。
- 茗荷谷の猫
- 10万人を超す命を救った沖縄県知事・島田叡
- 包帯クラブ ルック・アット・ミー!
- チーム
- カーテンコール!
- 勇者たちへの伝言
他の方の選書結果を見ているとだいたい10冊前後になるようです。ちょっと多めかな?
両手にトカレフ
ノンフィクション「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」などを書かれたブレイディみかこさんの小説。
ブレイディみかこさんのこの一節が、強く印象に残っています。
『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』には出てこないティーンたちがいました。ノンフィクションの形では書けなかったからです。
「両手にトカレフ」ポプラ社紹介ページより引用
黄色いマンション 黒い猫
80年代にアイドルとして大活躍、現在も女優・歌手として活動を続けている、小泉今日子さんのエッセイです。
アイドル時代のエピソード、「お母さん」とは呼ばず下の名前で呼ぶ母親のこと、迷い込んだ黒猫や飼っていた猫が死んだ日のこと、海の見える家に出家のように引っ越したこと。
等身大のエピソードは、昭和のアイドルや当時の原宿の様子、そしていま彼女が見ている景色をそのまま見せてくれます。
大事なことほど小声でささやく
マッチョなスナックのママ「ゴンママ」と、ジム仲間でありスナックの常連でもある登場人物たちが織りなす物語。各人物にクローズアップした短編小説が収録されています。
仲間たちの変化がゴンママにも影響を与え、最後の話に向かって大きなうねりを作っていく。互いが尊重されるコミュニティやサードプレイスのあたたかさも実感できる小説です。
空が青いから白をえらんだのです ―奈良少年刑務所詩集―
奈良少年刑務所の受刑者たちが紡いだ詩57編と、「社会性涵養プログラム」講師として、詩を書く教室を担当した童話作家・寮美千子さんの記録です。
詩はもちろん、詩を書く教室で言葉を紡いでいく様子を記した寮美千子さんの記録にぐっと胸が詰まります。
パリでメシを食う。
パリに住んでいた作者が、さまざまな意図や理由、経緯からパリで暮らす人たちに話を聞いたインタビュー集。
日本では窮屈で生きづらかったから、パリのほうがのびのび暮らせたから……といった楽観的な理由だけでなく、運命的なものに導かれて気がついたらパリで事業を興していた、みたいな人もいます。
また当人たちの悩みや葛藤は現在進行系で、まだ彼らの話はここで終わりではなく、筆者を含め「人生の通過点のひとつ」でしかないのだなあと感じさせられました。
茗荷谷の猫
江戸から明治、大正、昭和の高度経済成長期を生きた市井の人たちを描いた、連作の短編集です。
名もない人々……と言ってしまうのは乱暴かもしれませんが、多大な功績を残したわけでも、大きな挑戦をして学びを得たわけでもない、ごく身近にいるいわば「ふつうの人々」が描写されています。
彼らの物語は独立していますが、場所を変え、時代を変えながらも薄くつながっている描写がまた面白いところ。
個人的には、最後の話「スペインタイルの家」が一番好きですね……。あの流れで「後悔はないのだけれど」と言い切るさまに泣いてしまいました。涙腺が弱い。
10万人を超す命を救った沖縄県知事・島田叡
太平洋戦争末期の1945年1月から6月に沖縄県知事として赴任した島田叡氏の活動と共に、沖縄戦の経緯を辿るルポタージュ的な1冊。
沖縄県庁の動きや電報、当時を語るインタビュー、記録から読み取れるものなど、島田氏を始めとする「人々」にスポットを当てながら、さまざまな角度から沖縄戦の軌跡を辿ります。
2019年夏に沖縄の平和祈念公園に訪れましたが、島田叡氏の碑が建っているのはこの書籍ではじめて知りました。
包帯クラブ ルック・アット・ミー!
2006年の小説「包帯クラブ」の続編として16年ぶりに書き下ろされた長編小説。前作は未読でしたが、こうやって出会ったのも縁だと考え、あえて前作を読まずにこの本を読みました。
前作の時間軸である高校生の頃、そして大人になった彼らの真摯な活動が描かれています。
本作の主人公とも言える「ワラ」が縁に導かれて世界中を飛び回るさまに、こういう大きなものに導かれる感覚ってあるよな……としみじみしました。
チーム
箱根駅伝の混成チーム「学連選抜」(現在は関東学生連合チームという名称ですね)の選抜メンバーたちを描いたスポーツ小説です。
チームの敗北から始まる物語にぐっと引き込まれます。
カーテンコール!
未読のため、あらすじのみ掲載します!
落ちこぼれ女子たちが、奇跡を起こす物語。 閉校が決まった私立萌木女学園。単位不足の生徒たちをなんとか卒業させるべく、半年間の特別補講合宿が始まった。集まったのは、個性豊かな“落ちこぼれ”たち。
寝食を共にする寮生活の中で、彼女たちが抱えていたコンプレックスや、学業不振に陥った意外な原因が明らかになっていく。生きるのに不器用な女の子たちと、その成長に励まされる青春連作短編集。
「カーテンコール!」Amazon商品ページより引用
勇者たちへの伝言
未読のため、あらすじのみ掲載します!
ベテラン放送作家の工藤正秋は、阪急神戸線の車内アナウンスに耳を奪われる。「次は…いつの日か来た道」。謎めいた言葉に導かれるように、彼は反射的に電車を降りた。
小学生の頃、今は亡き父とともに西宮球場で初めてプロ野球観戦した日を思い出しつつ、街を歩く正秋。いつしか、かつての西宮球場跡地に建つショッピング・モールに足を踏み入れた彼の意識は、「いつの日か来た」過去へと飛んだ―。
「勇者たちへの伝言」Amazon商品ページより引用
一万円選書の応募から、手元に本が届くまで
選書までのプロセスは、次のような流れで進みます。
- まずは応募(応募期間が決まっています。毎年10月ごろ)
- 月に一度いわた書店にて抽選を行い、当選者にメール連絡
- 当選者が選書カルテを記入・提出
- 書店主の岩田さんが本を選び、すでに読んだ本がないかを事前に確認
- 本の差し替えがなければ代金を振込
- 本が届く🎉
選書カルテの提出順に選書される
書店主の岩田さんが本を選ぶための材料となる「選書カルテ」に記入し、提出した順に本を選んでもらえます。私の場合は、以下のような時間軸でした。
- 2021/10/1:応募
- 2022/8/24:当選の通知が届く
- 2022/9/4:選書カルテ記入→PDFファイル形式でメール送信
- 2022/9/18:選書結果がメールで届くので確認→返信
- 2022/9/19:代金の振込
- 2022/9/22:選書した本が自宅に到着!
この選書カルテがまたボリュームがあり、自分を深堀りするにはぴったりでした。
選書カルテは価値観の深堀りにもぴったり
一万円選書では、事前に「選書カルテ」の提出が必要となります。書店主の岩田さんがカルテを読んでから、一人ひとりに合わせた本を選んでいるそうです。
選書カルテには、こんな質問事項がありました。
- これまでに読まれた本で印象に残っている本BEST20をお教え下さい。
- 上手に歳をとることが出来ると思いますか?もしくは、10年後のあなたはどんな人になっていますか?
- いちばんしたい事は何ですか?あなたにとって幸福とは何ですか?
この選書カルテ、そこそこのボリュームがあります。自分が何を大切にしているかの深堀りにもぴったりです!
一万円選書の感想&今後の募集についてもチェック
一万円選書で選んでいただいた本と、選書が届くまでの流れ、そして選書カルテが自身の価値観の深堀りに大変よかったという話でした。
人並みに本は読んでいるほうですが、やはり自分の興味やインターネットで検索して出てきた本、またSNSで話題になっている本など、どうしても探す経路が偏ってしまいがちです。
選書によって、今まで手に取らなかったジャンルの本を紹介してもらえて
こんな物語があったのか……!!
と新鮮な驚きがありました。
特に「10万人を超す命を救った沖縄県知事・島田叡」や「黄色いマンション 黒い猫」「空が青いから白をえらんだのです」は、自分の興味を辿るだけでは決して辿り着けなかったでしょう。
2022年度の募集はすでに終了していますが、次年度以降の募集については公式サイトや各種SNSにてお知らせがあるそうです。
興味がある方は、この機会にぜひチェックしてみてくださいね!