ボルタンスキー「Lifetime」展・大阪での衝撃を振り返る

芸術・舞台

2019年3月の話です。
大阪・中之島にある国立国際美術館に「クリスチャン・ボルタンスキー Lifetime」展を観に行きました。

来たる東京での開催に向けて、Lifetime展での衝撃を振り返っておきたいと思い、記事にまとめます。
「人が生きるとは」「死ぬとは」「個とは」みたいなことを考えたことがある方に、ぜひ体感してもらいたい展示です。

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何も知らずに飛び込んで、衝撃を受けて帰ってきました

その日は、用事で大阪に1泊しました。
一夜明けて、中之島をうろうろしていた時に、ふと目にとまるポスター。

クリスチャンボルタンスキー展のポスター

クリスチャン・ボルタンスキー
1944年、パリ生まれ。
写真や身分証明書といった記録資料と衣服や文房具といった日用品を組み合わせることで、自己あるいは他者の記憶に関連する作品を制作し、注目を集めるようになる。
子どもの肖像写真と電球を祭壇のように組み合わせた「モニュメント」シリーズ(1985年-)や、大量の衣服を集積させた《ペルソンヌ》(2010年)など、現在まで一貫して、歴史や記憶、死や不在をテーマとした作品を発表している。

国立国際美術館 ホームページより

ということですが、クリスチャン・ボルタンスキーのことは、当時、名前さえ知りませんでした。
しかし、偶然見たポスターに、妙に惹かれるものがありました。

こういうときに感じること。
「この展示は、間違いなく自分の琴線に触れるやつだな」

幸い、時間に余裕があったので、軽い気持ちで足を踏み入れてみたところ、大ダメージを受けて帰ってきたわけです……。

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大阪会期の展示の一部を紹介します

人間とはどこからきて、どこに行くのか?
死って何なのか?

幼いころ、あるいは今になっても考えるそんな小さな問い。
ふと答えに行き詰まり、眠れなくなってしまう瞬間。

そういったものを、空間中に充填させたような展示です。

会場の中には言葉はなく、薄暗くて、作品一覧も読みづらいほど。
なのに、そこかしこから「死」が表現されている気配を感じるのです。

青い電球で縁取られたコートの写真

突き当たりの壁に展示されている、青い電球で縁取られたコート。
協会の十字架のように見えるし、上に向かう矢印のようにも見える。

1つだけ電球が切れていて、妙なリアルさがありました。
通常は全部点いているようです。

クリスチャンボルタンスキー展の展示

両側のスクリーンに映像作品が展示され、奥に別の展示が見えています。
この空間にぞっとします。
撮影OKであることを、しばらく忘れていたくらいです。

クリスチャンボルタンスキー展の電球の展示

展覧会の会期中、1日2つずつ電球が消えていくというインスタレーション。
会期の最初のころは明るいのに、終わりごろはほとんど真っ暗になっていると伺いました。
死に向かうことを表現しているそうです。

私が行ったときは3月中旬だったので、大阪の会期と照らし合わせると、3割くらいの電球が消えていたということになります。

クリスチャンボルタンスキー展の展示・黒いモニュメント

一番好きな展示は、この【黒いモニュメント、来世】。
様々な高さの、黒い塔のようなオブジェが並んでいます。
展示を見る人は、その合間を縫うように進んで、次の展示エリアに向かうことになります。
明かりは、「来世」と形取られた赤い電球だけ。

首都圏のビル群か、それとも墓場か。
完全に異空間で、自分がどこにいるのか分からなくなりそうでした。

あらかじめ設けられた窓から、空間を覗く作品もあります。

緊急時に使うエマージェンシーブランケットが、地面に凹凸をもって敷かれています。
上部の電球は不定期にゆらゆら左右に揺れています。
ブランケットに電球の明かりが反射して、まるで波のように見えました。

クリスチャンボルタンスキー展の最後の展示・赤いLED

人生には始まりと終わりがあるという哲学のもと、入り口には「DEPART」=出発を意味するLEDライトが掲げられています。

一方、出口には「ARRIVEE」=到着を意味するLEDライトの展示。
このLEDに見下ろされながら、会場を後にするのです。

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「Lifetime」は、否応なしに「人間の行く先」を考えさせられる

クリスチャン・ボルタンスキーの「Lifetime」展。
脳や認識、心を揺さぶられる展示でした。ある意味、劇薬級の展示。

そういうものって意外とお目にかかれないものですが、今回はそれだったようです。
終始くらくらしていました。

展示のチラシと半券

写真には収めていませんが、人物写真を使った展示もすごく多いです。

幼い子供の写真をあえて汚したもの。
無作為の写真を集合させたポートレート。
ボルタンスキー本人の、幼少期〜老齢期までの写真を使った作品もあります。

ひとりひとりの写真が、作品としてひとつの形になっていました。
その人たちには、その人たちの生活や暮らしがあったはずなのに、「Lifetime」展のなかでは、アートの一部になっています。

電車から景色を見てときどき考える、

「あのマンションひとつひとつには人が住んでいて、それぞれの生活があって、自分と同じように思考を持っている人が何人もいるんだ」
「その人たちは、どこから来て、どこへ行くのだろうか」

と想像した時の底抜けの恐ろしさを、改めて叩きつけられた気分になりました。

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東京での会期は2019年6月12日から!

「Lifetime」展は、大阪では2019年5月6日までの会期でした。
この先、東京と長崎でも同様の展示が予定されています。

回顧展でありながら、ボルタンスキーが会場に合わせて展示の構成を変えているそうです。
ということは、東京や長崎では、また違った展示が見られるのでしょう。

日本国内では、クリスチャン・ボルタンスキーの過去規模最大の回顧展となるようです。
後から知りました。

  • 会場の空間に合わせて作り上げられた展示
  • 光を用いた展示
  • 人の生死について思いを馳せること

そういったものが好きなあなたに、ぜひ一度、足を運んでほしい展覧会です。

大阪:国立国際美術館
2019年2月9日(土)~5月6日(月・休) 

東京:国立新美術館
2019年6月12日(水)~2019年9月2日(月)

長崎:長崎県美術館
2019年10月18日(金)~2020年1月5日(日)

「クリスチャン・ボルタンスキー Lifetime」展覧会HPはこちら

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